浪人時代

 最近、自分の撮った写真やら手帳やら手紙などを整理している。終活というわけではないが、部屋を整理したいからである。私の場合、中期記憶というか30代から50代は、突っ走って前しか見てなかった人生観なので、かなり記憶が落ちている。過去の写真を見て、ああこんなところに行ったのか、講演会で山形にも行ってたなあ・七尾市にも行ってたと思い出している。また過去に書いた論文なども整理して、よく、こんなに書いてきたものだと思ったり、大学院生で修士や博士を指導した論文なども、よくぞ、まあ、面倒みてきたなあと思ったりしている。という自分は、今でも毎日、50人以上の患者さんの診療に向かい、走っているのだが。少し昔を回想していると、これがユングの言うところのシンクロニシティなのだろう。

 浪人時代に出入りしていた「代々木茶房」という喫茶店仲間から連絡をもらった。わざわざクリニックから私を探してくれたのだ。

 名前を忘れていた(あだ名で呼び合っていたし)が、当時の写真で記憶が蘇った。」代々木茶房には、地方から来た浪人生の相談役になってくれる「お姉さん」がいた。

 私はずいぶんと世話になった。そのお姉さんは4-5年前に他界し、樹木の下に眠っている。いろんな人に出会い、いろんな人から世話してもらった。いつか、あの時代を小説で書こうと思っている。いつになることやら。

 レッドツェッペリンのコンサート映画が上映された時、都内の映画館に観に行ったのも当時だ。


藤村邦と渡辺俊之のブログ

精神科医をやりつつ小説や新聞のコラムを書く藤村邦(渡辺俊之)のブログです。