資格

 未だに「無意識なんかあるの」という心理師がいたのにビックリした先日、精神分析嫌いな心理師や精神科医は潜在的には存在することに呆れる。

 私の専門は精神分析(より)なので、全ての生活は無意識が影響すると考えている。このブログを書きたくなったのも、自己分析すれば、精神分析嫌いの方へ無意識が叫んでいるのだ。無意識はフロイトが明確にしたものだが、今では脳科学的にも実証されている。何かを決定する前に、すでに無意識が決定を与えている。

 無意識が私達を連れ歩き、無意識が対象を選択させ、無意識が対象を引きよせ、無意識が成功へも、転落へも舵を切る。

 欧米の精神科医は力動的精神療法(精神分析)と認知行動療法の研修が義務づけられているが、日本の精神療法研修は必須でないため医学モデルで片付ける。つまり、症状→診断→薬物療法となる。しかし精神科医は患者さんと話しもするので、保険診療では精神科医の診察には加算があったが、今年の診療費改定で、精神療法加算が下げられた。

 私は5分でも10分でも、力動的視点で対応している。安定している人には日常生活について聞いて終わりだが、時には葛藤やら生育歴にも焦点をあてる。研修してない人と自分が同じにされるのは悔しいものだ。

 専門資格がある精神分析的精神療法医(精神分析医)や家族療法家の多くは、自費診療だが、私などは保険でやれるものはやっている。どうしても、やってほしい人は自費で対応している。生活保護者やシングルマザーだって力動的精神療法は必要なのだ。

 都内では資格がある人から精神療法を受ける時は自費診療で金がかかる。精神分析医はニューヨークのマンハッタン、ロンドンなんかにいて、一回のセッションで日本円1万から2万だ。家族療法にいたっては、日本でも3万くらいは必要となる。

 臨床心理師の中には自費診療で5000円から1万くらいでカウンセリングルームをやったりしている人がいる。私のところには、都内、県内、オンラインでスーパービジョンを受けにくる心理師もいるし、そういう人は、自費診療で開業する価値があると思う。

 たいした研修もしていないカウンセラーは、患者を放り出したり、手に負えなくなったり、身体疾患や薬を知らずして壊したりするので、さすがに参る。

 専門性は素人にはわからない。医師の場合、他科を紹介する時には「専門医」がある人にしなさいと言っている。心理師やカウンセラーの場合には、上位資格である日本精神分析学会認定心理療法士や日本家族療法学会認定ファミリーセラピスト、あるいはその他の専門学会の認定資格を持っているか、スーパーヴィジョン研修をしている人にしたほうが良いのは決まっている。



藤村邦と渡辺俊之のブログ

精神科医をやりつつ小説や新聞のコラムを書く藤村邦(渡辺俊之)のブログです。