診断について

 精神分析の大家、ナンシー・ウィリアムスは精神科診断の意味を考察している。昔の私は、診断名を自分からは言わなかった。精神科への偏見もあるし、今のようにうつ状態も不安障害も発達障害もスティグマや偏見があったからだ。

 何しろ私、学生時代は「反精神医学」と読んでいたし、研修医の時に「診断無用論」のような論文を紹介して怒られたこともある。「精神科の患者」になるということは「普通と違うグループ」に入るみたいなイメージがあったからだ。今は、そんなことはなくなった(と思う)。患者さんには開示しているが、私もパニック発作を人生で4回くらい体験していて、抗不安薬を持ちあるいてる。また芸能人も自分、うつ病やパニック障害、発達障害と公開している人も増えた。この30年の間に診断基準は整備された。

が・・問題は「うつ病」と診断されると、その背景が来てしまうことだ。うつ病の背景にはそこに至るまでの、パーソナリティ特性・発達特性や環境要因があり、全部、同じではない。そこまで考えないと本当の治療にならない。ところが全世界的に「うつ病」→SSRIの処方という単純化した医学モデルが凌駕している。噂だが、米国の製薬会社戦力が関係しているとも言う。「診断名」がつけば、薬物療法が増えるからだ。最近、週末の講演や講義があり、少々疲れている。患者さんが私を診断してくれる。「今日の先生は疲れてますね」「今日は元気そう」と言ってくれるのは感謝である。

 クリスマスが近づいてきた、7年前の12月25日、私は大腸がんと診断されたが、今、こうして元気でいられるのは人生のプレゼントだったのだと思う。

 幼い頃から中学卒業まで、クリスマスカードを送り続けてくれた金子先生も思い出す。

学生時代や研修医時代、仲間といったスキーツアーも懐かしい。まだ、気合いで滑っている同期の先生もいる。今年はスキーに行けたら行ってこよう!!

藤村邦と渡辺俊之のブログ

精神科医をやりつつ小説や新聞のコラムを書く藤村邦(渡辺俊之)のブログです。