心の栄養

 私は患者さんに、ホワイトボードを使って心の栄養について説明する。私達のインナーチャイルドの一つ、フリーチャイルド(FC)に栄養を注いでもらえる対象があるか否かだ。これは、安心、安全、リラックス、快、喜びといった感情が体験できる、人、場所、時間などである。家族も人によりけり、「我が家はいいなあ、くつろぐなあ」という幸せな人は、家でFCを体験できる人である。ところが「家で緊張不安が高まる」という患者さんも少なくない。

 誰かと一緒にいることが好きな人もいれば、一人が一番くつろぐという人もいる。私もどちらかというと一人が好きだ。一番、良い時間というのは、仕事が終わり家に帰り、一人で大谷選手の活躍を見て、ハイボールや日本酒など軽く飲む時である。長い時間、電車にのる時には、デジタル音源をアナログ音源にかえるDACを使って、有線のヘッドフォンで音楽を聴くのである。これも栄養になる。

 もう一つは、「大人」の部分に栄養をあげることで、これは文字通り、勉強、読書など知識を得ることである。新しい知識を得ることは自分を高めることに繋がる。

 この前、中日新聞・東京新聞に介護者が必要な人間関係を書いたが。私は3つの関係性を上げた。第1には直接自分を手伝ってくれる人だ。介護でなくても直接支援してくれる人は大切な存在である。第2は、聴いてくれる人だ。今の時代、案外、自分の苦労や不満を聴いてくれる人は少ない。患者さんの中には、「親の不満ばかり言ってすみません」という人もいるが、精神科医の一丁目一番地は「傾聴」のはずである。その次に診断と治療が来る。第3は「専門的な知識」を提供してくる人だ。正しい知識を持つ医療、福祉、介護、社会保険労務士、弁護士などは大切な存在になる。

 Jim ChappelのLiving in Northern Summerは、懐かしい小学生時代の夏休みを思い出す。

 

藤村邦と渡辺俊之のブログ

精神科医をやりつつ小説や新聞のコラムを書く藤村邦(渡辺俊之)のブログです。