里子

 私には20年前から毎月、生活費や食費などを送っている里子(Foster Child)がアフリカのガーナにいる。彼が中学生くらいの時にネットで嘆いて支援をお願いしているので知り合った。父親が内戦か何かで亡くなり、幼い頃から母と二人暮らしである。

 聡明で英語がかなりできた。私が月に1万円送るだけであちらでは生活できたので、まあ、自分の酒代パチンコ代くらいだと思い送金してきた。支援機構からはガーナ政府は詐欺で外貨を獲得しているから注意してくれと連絡ももらったが、私は彼を信じていた。

 その後、彼は苦学してアメリカに渡り、軍隊学校に入った。そしてアメリカの市民権を得たのである。本格的に活動する前に「恩返し」のために日本にやってくるという。米軍の関係で突然に来日が決定した。「どこか行きたいところはあるか」と言うと「Dadyの家族に会いたい、(きょうだい)息子や娘に会いたいという。それだけでいい」と言う。

 私ががんになった時には毎日、「アラーに祈っている」と連絡をくれた。

 私の母は古着などをユニセフに送っていた。何度も言っていた言葉がある。「子どもは世界中にいるんだよ」だ。母は、そういう気持ちで世界中の子ども達を見ていたのである。母の命日は明日の2月12日、私が支援してきたHardy君が成田に着くのも明日だ。

 We are the World, We are the Children !!


藤村邦と渡辺俊之のブログ

精神科医をやりつつ小説や新聞のコラムを書く藤村邦(渡辺俊之)のブログです。